Newsweek世界の最新医療2026に掲載:街づくりの視点で歯科医療を展開鍵を握るのは「持続性」
街づくりの視点で歯科医療を展開鍵を握るのは「持続性」
少子高齢化と人口減少により、集患競争は年々激しさを増している。そうした中、いち早く街づくりの視点を取り入れ、埼玉県八潮市に根差した歯科医療を展開してきたのがLife Medical Groupだ。
今井恭一郎理事長に、その独自の戦略と未来像を聞いた。
理事長、歯科医師、博士(歯学)
Smile bridge Project代表
今井恭一郎
1997年、明海大学歯学部卒(柳生賞授与)。
同年、信州大学医学部附属病院歯科口腔外
科勤務。2006年、IDENTAL OFFICE今井
歯科開院。2009年、医療法人社団大志会
を設立し、2016年、医療法人社団大生会
M&A。2026年、Life Medical Groupと
して、新たな船出を試みる。
Life Medical Group
└ LMC総合歯科EAST八潮
旧名称(今井歯科EAST)
└ LMC歯科・矯正歯科WEST八潮
旧名称(今井歯科WEST)
└ LMC歯科・小児歯科SOUTH八潮
旧名称(今井歯科クリニック八潮)
└ LMC歯科・口腔外科NORTH八潮
旧名称(今井歯科HANARE)
■診療時間:月曜~土曜 9:15~17:45
■休診日:日曜・祝日
■診療科目:歯科/歯科口腔外科/小児歯
科/矯正歯科/予防歯科/審美歯科/高齢者
歯科/インプラント/障がい者歯科
よつばcafe×タニタカフェ
総合歯科、4院の役割分担全年齢に応える診療体制
ライフメディカルグループは、一般歯科を基盤に、予防歯科、小児歯科、矯正歯科、高齢者歯科、口腔外科、訪問診療までを包括する歯科医療体制を整えている。ライフステージや健康状態の変化に応じて、同じ地域で継続的に診療を受けられる点が大きな特徴だ。つくばエクスプレス・八潮駅周辺
を拠点に4院を展開し、それぞれが役割を分担しながら連携することで、地域の多様なニーズに応えている。ショッピングセンター内にある「ライフメディカルクリニック(以下、LMG)総合歯科EAST八潮」では、一般歯科を軸に幅広い治療を提供している。さらに臨床現場での経験を重視した研修体制を整え、次世代を担う若手育成にも注力。併設の「LMG歯科・口腔外科NORTH八潮」では、口腔外科疾患やインプラント治療に対応し、今井理事長自ら症例に応じて全身麻酔下での日帰り手術も行っている。
一方、「LMG歯科・矯正歯科WEST八潮」は13台の治療ユニットを備え、定期検診や予防歯科、矯正歯科、審美歯科など、メンテナンスを重視した診療を担う。診療体制を工夫し、通院の持続性にも配慮している。「LMG歯科・小児歯科SOUTH八潮」は、小児歯科、高齢者歯科を柱とし、摂食・嚥下に関する診療や訪問診療にも注力。自宅や介護施設を訪問し、口腔ケアや嚥下機能の評価、生活環境に応じた指導を行っている。
こうした診療体制の根底には、今井理事長の総合病院のように機能する歯科医療を地域につくりたいという構想。「拠点を広げるのではなく、一つの地域で世代を超えて診ていく。それが医療の本質だと考えています」。歯科疾患は遺伝的要因や生活習慣の影響を受けやすい。家族単位で診療の経過をカルテとして蓄積していくことが、より適切な診療につながる。その考えのもと、街に根差した診療スタイルを実践。また、健康づくり事業の一環として「よつば cafe ×タニタカフェ」を展開。治療によって審美性や咀嚼・嚥下機能が改善し、食べる喜びを取り戻した生活を支える食育拠点として、栄養バランスに配慮したメニューを提供し、歯科医療と食をつなぐ地域の健康づくりに取り組んでいる。
歯科医療の未来を守るため、日本国内のみならず海外にも視点を
高齢化と人口減少が進み、歯科・医科を問わず、人材不足は全国的な課題となっている。とりわけ地方ほどその影響は大きく、地域医療の継続性をいかに確保するかが問われている。医療提供体制の再構築が急務となるなか、今井理事長は、地域医療の持続可能性を見据えた新たな取り組みを構想してきた。医療従事者の働き方や地域との関わり方を見直すことが、将来の医療体制を支える一助になるとの考えからだ。「当院で勤務する医師にも故郷があります。医療資源が限られた地域でも、継続的に故郷の医療に関わり続けられる仕組みが必要だと考えました」。その一環として、地域を担う医療機関
と連携し、現地に拠点を置きながら訪問診療を行う体制づくりを進めている。常勤・非常勤といった従来の枠組みにとらわれず、柔軟な関与を可能にする点も特徴だ。働く場所と医療提供の在り方を捉え直すこの構想は、いわばワーケーション的な発想を医療分野に応用した試みといえる。
今井理事長の原点には、自身のルーツもある。長野市旧戸隠村で、祖父の代から100年に渡り医療に携わる家系に生まれ、地域に根差した医療の意義を身近に感じてきた。一人ひとりの人生に寄り添う姿を見て育った経験が、現在も礎となっている。
さらに視野は国内にとどまらない。「急速な経済発展を遂げる東南アジア諸国も、将来的には日本と同様の課題に直面する可能性があります」。と今井理事長が語る。海外の医師との交流を通じ、これまで培ってきた知見や専門性を共有し、相互に学び合う関係を築いていくことも、長期的な展望の一つだ。地域医療、そして歯科医療全体の未来を見据え、今井理事長はその歩みを年輪のように着実に重ねている。