子供の歯は大人の歯に比べてとてもデリケート。乳歯は永久歯よりも軟らかいので、虫歯に対する抵抗性が低く、すぐに虫歯が奥に行きやすいという弱点があります。また、生え変わって間もない永久歯も虫歯リスクが高いため、油断をするとあっという間に虫歯になってしまう、ということも珍しくありません。そんなお子さんの歯を効果的に虫歯から守ってくれるのが、フッ素塗布とシーラントです。
はじめての乳歯は生後6ヶ月頃からだんだんと生え始めます。この時期は離乳食も始まり、いろんな食べ物がお口に入るようになります。また、虫歯菌を周囲の方からもらってしまう可能性もあり、歯がある限り虫歯のリスクというものがつきまとうようになります。
そのため、歯が生えたら、強い歯を作るフッ素の定期的塗布をおすすめしています。
フッ素は歯の表側にあるエナメル質に結合し、強い結晶を作ります。これによって、虫歯菌が作り出す酸から歯を効果的に守ってくれます。
歯は食事のたびに口の中が酸性になり、その都度歯の表面のカルシウム分が溶け出す「脱灰」と、唾液中のカルシウムやリン酸などのミネラル成分が歯に沈着する「再石灰化」を繰り返しています。このバランスが崩れると虫歯ができてしまいますが、フッ素はこの再石灰化を助ける働きがあり、初期の虫歯も修復してくれます。
フッ素には抗菌作用があり、虫歯の原因菌に対しても効果があります。これにより、虫歯菌の働きを弱めてくれます。
フッ素は、定期的に塗布することにより、効果を持続させることができます。当院では通常3ヶ月ごとの定期的塗布をおすすめしています。また、ご家庭での歯磨きにはフッ素入りの歯磨き粉を使用すると、さらに虫歯予防効果が高まります。
虫歯リスクの高い歯の溝をコーティングして効果的に虫歯予防
奥歯のかみ合わせの面には深い溝があります。この溝には汚れがたまりやすいので、虫歯のいちばんの好発部位になっています。そのため、この虫歯リスクの高い場所をあらかじめ材料で埋めることによって溝を浅くし、お掃除がしやすい形態にして虫歯リスクを低くする、これがシーラントです。
シーラントは、保険が適用されます。歯を削る必要もなく、痛みも全くありませんので麻酔なども必要ありません。また、歯の色に近い色をしていますので目立つこともありません。
当院で使用しているシーラントには、フッ素が含まれています。そのため、シーラントをした後は、ただ溝を覆って汚れがたまるのを防ぐだけでなく、持続的にフッ素の歯質強化作用、再石灰化作用、抗菌作用の働きが発揮され、さらに虫歯予防効果が高くなります。
個人個人のむし歯のなりやすさによってもシーラントの必要性は左右されますが、虫歯になる前にあらかじめシーラントを充填しておくことをおすすめします。具体的には次のような年齢です。
シーラントは虫歯のリスクを減らすための予防処置です。シーラントをしたからといって、虫歯が絶対にできない、ということではありませんので、歯磨きはしっかりと行ってください。
シーラントは歯の溝にしっかりと接着しますが、削って詰めているわけではありませんので、毎日食事をしたりしているうちにだんだんと取れてくることがあります。そのため、シーラントをしたあとは定期的に外れていないかのチェック、必要に応じて再度充填が必要です。
ただし、シーラントは、乳歯や生えたての永久歯など、虫歯のリスクが高い時期に行う予防処置ですので、年齢が上がり、虫歯のリスクが低くなれば外れても問題はありません。