顎関節症患者に女性が多い理由!原因は何?

顎が痛んだり、口を開け閉めするときにカクカクしたりする場合、顎関節症(がくかんせつしょう)が疑われます。この病気は2人に1人が発症するとされ、多くの人が悩んでいます。
そして顎関節症は、女性の患者が多い特徴があります。顎の動きの不具合に、なぜ男女差が出てくるのでしょうか。女性特有の原因が顎関節症を引き起こしているのでしょうか。

顎関節症の患者の特徴

顎関節症の患者の特徴

顎関節症の発症率は女性のほうが多いということは歯科医学的に証明されています。女性は男性の2~4倍発症しやすいとする歯医者もいます。
発症しやすい年齢は20~30代と50代です。2つの世代に患者数のピークがあるわけです。
また最近の研究では、65~75歳にも、もうひとつ患者数の「山」があることがわかりました。

女性が多い理由は「不明」

顎関節症に女性患者が多い理由はわかっていません。20~30代の女性に多く発症していることから「女性の社会進出の拡大に伴って、若い女性会社員が『男性社会』で苦労することが増え、ストレスが原因となって顎関節症を発生する」といった説もありますが、歯科医学的に証明されているわけではありません。
ストレスが顎関節症の一因になっていることは間違いないようですが、ストレスは男性の発症原因にもなり得ます。

また、顎関節はとても複雑な構造になっていて、上下左右前後に自由に下顎を動かすことができます。そして女性の顎は男性に比べて小さい特徴があります。複雑な構造を持ったものは、小さくなるほど不具合が生じやすくなります。
それで「女性の顎が小さいから顎関節症が起きやすい」という説もありますが、これも一因にすぎないようです。
「一因にすぎない」とは「それ以外の原因があるかもしれない」という意味です。

有力な発症説は「多因子病因説」

顎関節症の発症で最も有力な説は、多因子病因説です。つまり多くの原因が積み重なって顎の不具合が生じる、という意味です。
そのため顎関節症は多因子性疾患と呼ばれることもあります。

少々情報量が多くなるのですが、顎関節症を起こしうる原因をすべて紹介します。

・そもそも顎関節が弱い、顎が小さい
・顎の筋肉が弱い
・噛み合わせが悪い
・精神的な緊張が続いている
・ストレスが大きく長い仕事をしている
・不安、気分の落ち込みなどを感じている
・打撲や転倒などで顎にダメージを受けたことがある
・食事をしていないときでも噛み続ける癖(歯列接触癖)がある
・スマホを長時間使っている
・下顎を前に突き出す癖がある(または受け口)
・爪を噛む癖がある
・うつ伏せで寝たり、うつ伏せで本を読んだりすることが多い
・硬い食材を多く食べる
・右の歯のみ、または左の歯のみで食べる癖がある
・はぎしりの癖がある
・高い枕を好む
・衝撃が多いスポーツをしている(ラグビー、スノーボード、スキューバダイビングなど)
・吹奏楽器の演奏をしている
・演劇や歌で大きな声を長時間出すことが多い
・配送業など重量物を運ぶ仕事をしている
・デスクワークが長い仕事をしている(コンピュータ関連など)

顎関節症に女性患者が多い理由は、これらの原因が女性に生じやすいからと言えるかもしれません。
しかし女性のほうがこれらの原因を抱えやすいということも証明されていません。

積み木モデルで説明できる

積み木モデルで説明できる

顎関節症研究の第一人者で、東京医科歯科大学准教授などを歴任した木野孔司氏は、顎関節症は「積み木モデル」によって発症すると提唱し、それが定説となっています。
「なぜ顎関節症患者に女性が多いのか」とも深く関わってくるので、詳しく解説します。

顎関節症は「多因子病因説」の章で紹介したように、あれだけ多くの原因が複雑に組み合わさって発症するわけです。
例えば、顎関節症を発症しているAさんとBさんの2人の患者がいたとします。そしてAさんとBさんの診断したところ、次の6つの原因に当てはまることがわかったとします。

・顎の筋肉が弱い
・噛み合わせが悪い
・ストレスが大きく長い仕事をしている
・スマホを長時間使っている
・うつ伏せで寝たり、うつ伏せで本を読んだりすることが多い
・はぎしりの癖がある

ところが、Aさんはこの6つの原因がすべてそろって初めて顎関節症を発症したのに対し、Bさんはこのうち「・顎の筋肉が弱い・噛み合わせが悪い・ストレスが大きく長い仕事をしている」の3つを抱えた時点で顎関節症を発症していた、ということがわかったとします。
その場合、Aさんはこの6つ原因のうち1つでも解消できれば顎関節症が軽減する可能性がありますが、Bさんは少なくとも4つの原因を取り除かないと症状は軽くなりません。

なぜこのような違いが起きるかというと、AさんとBさんは総合耐久力が異なるからです。AさんのほうがBさんより総合耐久力が高いわけです。
顎関節症の診断や治療では、原因の特定とともに、総合耐久力も調べないとならないのです。

まとめ~原因が多く原因の特定が難しい病気

顎関節症に女性患者が多いのは事実ですが、女性だから発症するわけではないことをご理解いただけたでしょうか。
また、女性の顎の小ささや女性の社会進出の拡大が顎関節症の一因になっていることは否定できませんが、しかし顎が小さくて会社でストレスを受けている女性が必ず顎関節症を引き起こすわけではありません。
さらにいうと、顎が小さくて会社でストレスを受けている女性が顎関節症を引き起こしていても、それ以外の原因によって顎に不具合が生じているかもしれないのです。
「顎の調子がおかしい」と感じたら、男性でも女性でも、まずは今井歯科を予約して診てもらってください。

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