要介護でも安心!高齢者の歯を守る「訪問歯科医」の役割

超高齢化社会になり老人ホームやデイサービスなど、老人向けのサービス施設が増えてきました。しかし、施設の増加に追いつかないほど高齢化が進んでいるため、施設に入るのも順番待ちをしている地域もあります。そこで要介護認定を受けている方やなかなか通院できない人が代用するのが、訪問医療です。訪問医療はこれからの日本の医療を支える重要な要素になってくるのではないでしょうか。そこで今回は、訪問歯科医について今井歯科がお話します。

訪問医療とは

訪問医療とは

訪問医療とは在宅でいながらにして、訪問医師や訪問歯科医師の診療・治療を受けることです。在宅と言っても自宅の人もいれば入所している施設に来てもらう人もいます。訪問診療は患者さんが移動することなく医療スタッフが来てくれる斬新なアイディアなのです。通院することが難しい人にとっては嬉しいサービスといえるでしょう。
ここで一つ疑問が出てくるかもしれません。医療機関には、レントゲンや治療器具、薬など医療行為に必要なものが揃っています。これはある意味当たり前のことで医療機関のあるべき姿ですよね。しかし、訪問医療では医師・歯科医師が来てくれるので、医療器具は患者さん側が用意するものなのか、それとも医療スタッフが持ってくるけれども制限があるのか、疑問に思う人がいるかと思います。実際のところ、歯科における在宅医療では、概ね歯科医院で行う医療行為と同等の治療を受けることができます。例えば、最近は移動の車内で石膏模型を作るシステムを完備している医院も多く、歯医者さんに行って治療を受けるのと同じような工程が可能になっています。さらに、レントゲンもポータブルのレントゲンがあります。ポータブルのレントゲンは訪問医療が浸透する以前は被災地での診療や、東日本大震災で遺体の照合を行う際にレントゲン撮影を行い治療の既往歴を調べることに利用されていました。ポータブルのレントゲンがあれば、歯科医院と同等の検査ができます。ポータブルの診療台もあるので、歯を削る行為も在宅で出来るようになっているのです。

訪問歯科の役割

訪問医療の中でも、訪問歯科を一番待ち望んでいるのは、寝たきりの方ではないでしょうか。寝たきりになってしまうと、家族や介護スタッフが行う歯ブラシ程度でのケアしか受けられないでしょう。
高齢者に多い疾患で、誤嚥性肺炎というのがあります。誤嚥をした際に、口の中の細菌が肺の中へ侵入し肺炎を発症するというものです。誤嚥性肺炎の予防に有効的なのは歯のクリーニングです。日頃から歯を磨いて清潔に保つことは重要ですが、歯医者さんの行うクリーニングは、確実にきれいにすることができます。誤嚥性肺炎を起こさないためにも、訪問歯科で口腔ケアをすることは大切です。
さらに歯科医師会が主体となって「8020運動」を実施しています。これは80歳で20本の歯を残そうという運動です。この運動のおかげで高齢者でも歯が残っている人は増えましたが、寝たきりになってしまうと歯があることで細菌の温床になってしまう可能性もあります。誤嚥性肺炎を確実に防止するには歯を抜くことがベストですが、残っている歯を症状がないのに抜くのは、医療倫理の観点からどうなのかという問題もあります。

訪問歯科の実情

訪問歯科の実情

訪問歯科の実情は、どうなのでしょうか。実際問題、訪問歯科をしてくれる歯医者さんは少ないというのが現状です。その理由としては、移動車・ポータブルレントゲン・診療セットを用意するのに初期投資がかかる、訪問医療に精通したスタッフがいないなどです。訪問医療は、ケアマネージャーさんや社会福祉士さん、そして患者さんの家族とも連携していかなければいけません。患者さんが他科の診療を受けているのであれば担当医師へ病状照会もします。事務作業数も普通の歯医者をしているより多くなりますし、時間的拘束も移動時間が入るので多くなります。訪問歯科へ事業展開しない理由は、こういったことにあるのかもしれなせん。中には移動用の器具では歯科医院と同等の治療は難しいと判断し、訪問歯科に手を出さない先生もいます。

訪問歯科を利用するには

訪問歯科を利用したいと考えている人はたくさんいます。そうした人は、まず、かかりつけの歯医者さんへ連絡してみてはいかがでしょうか。もし対応が難しい歯科医院であれば、日本訪問歯科協会へ連絡すると可能な歯科医院を紹介してくれます。
訪問歯科は介護保険が適応になる場合と健康保険のみの診療になる場合があります。患者さんがどちらの保険で診療してもらえるのか、訪問歯科担当のスタッフとよく相談してみてください。介護保険が適用になる場合は、申請をしなければいけないので早めに対応することをお勧めします。
訪問歯科を利用しても、日頃、家族の方が歯磨きをしてあげなければ口腔ケアは成立しません。訪問歯科医や衛生士と家族が一緒になって大切な歯を守ってあげましょう。



今井歯科コラム バックナンバー一覧